「遠き落日」 読書感想 ②

やはり、一流の作家さんたちというのは人物描写が素晴らしいですね。

この本の中で、日本の細菌学の権威である北里柴三郎先生も出てくるのですが

(北里先生は士族出身 もと武士のお家柄)

北里先生が、野口に対する侮蔑するような視線も書いていました。

 

「野口は地方の貧しい農家の出身。

そういった輩が医学を学ぶなどと・・・

どこまでも、頭を下げられる卑しいところを北里は嫌った」

といったような内容の文だったかと思います。

 

同じような人物描写が

山崎豊子原作の「白い巨塔」にもあったことを思い出しました。

 

奇しくも二つの作品の共通点は「医学界」だということに

気づきました。

 

どこまでも頭を下げられる人間...ではあるが、

そのくせ、一方では舌をちょろっと出して、頭を下げた相手に裏では

つばを吐くような人間。

そういったしたたかさをもつ人間の人物描写。

どちらの先生もお見事でした。

 

確かに世の中、

こういう人っているよなあ・・・

こういう人間関係も確かにあると当時読み終えた私はそう

感慨にふけったものです。

 

私も長いこと生きてきたので、いろんな人を見てきました。

 

その人物がどういった人か見極めたり、

この人とこの人はどういう間柄なのかとつぶさに観察できるようになってきたこと

そのうえで、この人にはこう対処するという戦略も立てられるようになってきました。

 

年の功もあるけれど、

こうした素晴らしい人物描写を書いた本を読むことによって

私自身、、身についてきたこともある・・・と思いました。