太宰 治 「津軽」

 

津軽 (新潮文庫)

津軽 (新潮文庫)

 

 

今でいうところの「自分探しの旅」といったところで、太宰が自分が生まれ育った青森県津軽地方を旅するエッセイのようなものだと思いました。

太宰は自分の出自に疑問を常々もっていたのかなあと思いました。

津軽一帯の大地主のお金持ちな家柄に生まれ、民主主義とか平等とか共産主義とかそういった政治思想の風も吹いてきた時代に生きた太宰、

なんら苦労して働くことなく、底辺の人々の汗と血の労働を土台にして 成り立っている生活をしている自分たち家族のことに疑問をもっていたのかなと思いました。

太宰の家に仕えていた使用人の人たちを訪れる場面もありました。

巻末の解説に「大地主の家柄に生まれながら、あくまでも底辺の人々に寄り添って生きた太宰」と書かれていました。太宰の小さい頃の世話をしたタケさんをたずねる場面もありました。

いまでいう乳母やお手伝いさんというポジションですね。

こうした女性を、秋田などでは「アバ」などといいます。

この本のなかでは「アヤ」と書いていました。

津軽での呼び方はアヤなんだなあと読みながら私は思いましたね。

秋田でも裕福な地主の家柄では、こうしたタケさんのような使用人が必ずいました。

私が小さい頃過ごした秋田県の羽後町(県南にあります)というところでもこうした人がいたことを思い出しました。